初音ミクを研究した文献要約《ユリイカ編 Vol.3》
印象論に過ぎないが、たいていのニコニコ動画上の楽曲は、iPodを通して聴くと約8割「劣化」してしまうのだ。つまりニコニコ動画上でコメント付きでその楽曲を視聴するほうが、圧倒的に「神曲」に聞こえてしまうのである。
濱野智史(情報環境研究)
初音ミクのブームが「声」によって駆動されたとはあまり思わないんですが。むしろKEIのパッケージイラストの効果や(中略)ニコニコ動画との親和性が大きかったのではないか。
東浩紀(哲学)
初音ミクは音楽的にも図象的にも日本文化のある種の鏡というかシュミラークル的な《場》としてあって、そういう逃げ水を追いかけるようなことが初音ミクについて語ることなのかなという気がしてきました。
編集部
21世紀の今日、「初音ミク」という名の存在しないはずの少女を共有する人々は、実のところ「目に見えぬ女の子との遊戯を通して、想像力が《別の現実》、物理的な現在とは異なった現実に達しようとする力」であることを発見し、それを獲得するためのレッスンを日々積んでいるのではあるまいか?
中森明夫(アイドル評論家)