初音ミク総研

初級者のための解説や曲・DVDの紹介他。視聴専門だよ。

書評『ユリイカ 2008年12月臨時増刊号 初音ミク ネットに舞い降りた天使』

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ユリイカ初音ミクを特集することに、それほど違和感はない。

ガルシアマルケス鬼束ちひろハルヒもゾンビも、

ユリイカの手にかかれば、高尚な議論の題材となる。

初音ミクは、むしろユリイカ向きの題材だとさえ言えよう。

 

さて中身であるが、アイドル論、音楽論、オタク論、情報論、社会論など、様々な視点から、様々な論客が初音ミクを語り尽くす。

中には、「よく知らない」「あまり好きじゃない」人にまで語らせている記事もある。

Gacktの記事とかさ)

まあ、これも、いつものユリイカだ。

 

とにかく、論文数と、文字数が多い。

結構読むのはしんどい。

オススメの読み方は、著者が誰かは気にせず、まず10行くらい読んでみて、おもしろそうなら読み続ける、面白くなさそうなら他の著者の論文にシフトすること。

全員が面白いことを言ってるわけではないし、

なかには、意味不明の記事(詩?)もある。

初音ミクに言及せず、自分の得意分野のことを語ろうとする輩もいる。

ユリイカの平常運転)

だから、どんどん、飛ばして読むべし。

幸い、論文数は多いから、何本かは「いいね」と思う記事に出会うだろう。

 

小難しい話ばかりではない。

対談調の読みやすいものもあれば、

巻末には「ヒットパレード」と称して、

オススメの選曲リストもあるので、何かと飽きない構成になっている。

値段も1000円ちょっとだし、わりとお得。

 

初音ミクを「考える」本としては、

刺激的な材料満載の1冊と言える。

 

 

 

 

 

 

書評『情報処理 別冊 《特集》CGMの現在と未来』

本来なら、ブログ主が一生買うこともなかったであろう雑誌。

そもそも、そんな雑誌があるとも知らなかった。

その別冊である。

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普段の号の特集をみてみると、

ビッグデータがもたらす超情報社会』

とか

『初等中等教育におけるICTの活用』

とか。

いや、これ、ド文系の私にゃあ読めないw

 

でも一時期ネット上で、この本が話題になっていた。

こんなマイナー雑誌(学会機関紙?)で初音ミクを特集している、ということで。

しかも売れ行き好調で増刷までする異例の事態であると。

初音ミクの資料に飢えていたブログ主も、すぐアマゾンでポチっと買ってみた。

残念ながら初版本ではなく「第2刷」であった。

 

さて中身であるが、目次もなく、イントロでざっと雑誌の趣旨を説明したのち、下記5本の論文が展開される。

 

後藤真孝(産業技術総合研究所

剣持秀紀(ヤマハ

伊藤博之(クリプトンフューチャーメディア)

戀塚昭彦ドワンゴ

濱野智史(日本技芸)

 

剣持氏の論文を読めば、音声合成のテクニカルかつヒストリカルな知識が手に入るし、戀塚氏の論文を読めば、ドワンゴが果たした役割がよくわかる。

N次創作といった概念も含め、初音ミクの入門的知識を得るには、

なかなか役立つ一冊だ。

 

なかでも産業技術総合研究所の後藤氏の巻頭論文は胸熱。

いかに初音ミクが可能性に満ちた奇跡の存在であるのかが理知的に熱く語られる。

ブログ主がいくら初音ミクの可能性を叫んでも好事家の世迷いごとになるのだが、

頭のいい人が初音ミクを語ると、やはり一味違う。

同氏の論文のポイントは、後日「要約」としてアップする予定。

 

産業技術総合研究所って、普段は「プルシアンブルーナノ粒子を用いた放射性セシウム除染」とか、「有機ケイ素機能性化学品製造プロセス技術」とかを研究してる、超立派な国立研究所である。

そこの職員が目をキラキラさせて(想像)初音ミクを語ってくれるのは、

なんとも頼もしい限りである。

 

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《業務連絡》明日3月9日はミクの日です。

一説によると明日は「ザクの日」らしいが、

本ブログでは「ミクの日」とさせていただく。

毎年恒例となりつつイベントがこちら。

 

twipla.jp

 

ただしブログ主は参加しない。

だって「マジカルミライ2015」、あまり好きじゃないから。

「MIKU EXPO in NY」だったら参加したのに。

 

あとこれ。

twitter.com

 

これは参加できません。

だって、絵が描けないからw

 

というわけだが、我こそは参加する、という人は、

こうしたイベントに飛び込んでみてはいかがだろう。

 

 

初音ミクを研究した文献要約《ユリイカ編 Vol.2》

初音ミク」は「歌」を育てるソフトだ、と思う。(中略)「初音ミク」は、初音ミクというキャラクタを育てるソフトなのだ、という捉え方もできる。

 

 細馬宏通/コミュニケーション論

         『ユリイカ』(08年12月)「歌を育てたカナリアのために」

 

 

「萌え」の本質である「欲望」は、自分を表現するのではなく、他者に表現させ、その表現を所有することを要求する。この意味で初音ミクの声の調節が「調教と呼ばれるのは、その本質を言い当てている。

 

大杉重男/文芸批評

         『ユリイカ』(08年12月)「未クラシック、魅クラシック」

 

 

初音ミクのこうした逸脱性とセクシャリティにまるわる起源神話としては、アーサー・C・クラークスタンリー・キューブリックの手になる映画『2001年宇宙の旅』のHal9000が思い出される。あれこそは、もっとも原始的なヴォーカロイドではなかったろうか。

 

小谷真理/SF・ファンタジー評論

         『ユリイカ』(08年12月)「ハルとミク」

 

 

ユーザーは、〈初音ミク〉を歌わせて楽しむよりは、〈初音ミク〉の「中の人」として歌うことを楽しむのだ。 

 

石田美紀/映像文化論

         『ユリイカ』(08年12月)「『中の人』になる」

 

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落ち込んだ時に即効で効く初音ミクの曲ベスト3

誰しも落ち込むはときがある。

 

仕事で失敗したり、

嫌なことを押し付けられたり、

勉強がうまくいかなかったり、

あてにしていたものが手に入らなかったり、

しばらく辛い日が続くとわかっていたり。

 

憂鬱で、ため息が出て、ブルーになるとき。

そんなときに、聞くと前向きになれる初音ミク曲ベスト3を、

勝手に発表する。

 

第3位

『Hand in Hand』Livetune

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自分が頑張れば誰かを助けることになれるし、

誰かが自分を助けてくれている。

自分は一人ではない、みんなとつながっているんだ。

ほっこりと、そんなやさしい気持ちになれる名曲。

ぜひミクさんの振り付けも見て欲しい。

癒されること間違いないし。

 

 

その2。

じゃなくて第2位。

『ワールドイズマイン』ryo

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歌詞は素直じゃない自己中(?)の女の子のモノローグで、

直接的には「落ち込んだ時に効く」要素はない。

だが、全体を通しての「ばかばかしさ」に救われる。

ある意味能天気なミクワールドに触れることで、

自分の「悩み」さえも、「フッ」と矮小化できる。

なお、似たような効果は

『ぽっぴっぽー』『みっくみくにしてあげる』でも確認されている。

 

 

第1位

『1/6 out of the gravity』ぼーかりおどP

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ブログ主が仕事で追い詰められたときに、

何度となく助けられた曲。

会社の机で突っ伏しながら、よく聞いたなあ(笑)

つらいことも悲しいことも、

まじで6分の1になった(気がした)。

 

みなさんも、

ブルーになって、落ち込んで、ふてくされてる時には、

イヤホンを耳に入れて突っ伏して、

しばし、ミクさんの歌声に耳を傾けてはいかがだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

初音ミクを研究した文献要約《ユリイカ Vol.1》

初音ミクの記号性というのは、生身の人間だから持っている良さ、逆に言えば、生身の人間が持たざるを得ない良さを全部排除した存在なんです。そこが受け入れられたのだと思います。

             佐々木渉/クリプトンフューチャーズ サウンドデータベース開発

         『ユリイカ』(08年12月)「生みの親が語る初音ミクとアングラカルチャー」

 

オナホールで有名な典雅さんに、初音ミクを作ったことについて、人づてに褒められたことがあったんですよ。すごく嬉しかったんですね。「典雅さんにシンパシーを感じる」と言うと誤解が生じると思うんですけど(笑)、「今後、アンドロイドや人工人間の理想的なパーツはどうなっていくんだろう?」という部分を真剣に考え、行き着いた先の真実に向かおうとしている部分では、すごくシンパシーを感じています。

                佐々木渉/クリプトンフューチャーズ サウンドデータベース開発

         『ユリイカ』(08年12月)「生みの親が語る初音ミクとアングラカルチャー」

 

初音ミクを通じて、これまで聞いたことのないマニアックな音楽に触れることができた人が多く生まれたのならば、文化として貢献できたのかもしれない。

                佐々木渉/クリプトンフューチャーズ サウンドデータベース開発

         『ユリイカ』(08年12月)「生みの親が語る初音ミクとアングラカルチャー」

 

(プロトタイプの初音ミクの)イラストのラフを貰った時、最初は女子高生の格好をしたものと、アンドロイド然としたものがあって、「これが歌うと言われても困るよなあ」なんて思ったんですよ(笑)

                佐々木渉/クリプトンフューチャーズ サウンドデータベース開発

         『ユリイカ』(08年12月)「生みの親が語る初音ミクとアングラカルチャー」

 

 (ニコ動の「はちゅねみく」動画について)昔でいうフリー・ジャズみたいなものですよ。フリー・ジャズのことを、作り込みの甘いジャズとは言わないじゃないですか?

                佐々木渉/クリプトンフューチャーズ サウンドデータベース開発

         『ユリイカ』(08年12月)「生みの親が語る初音ミクとアングラカルチャー」

 

ミクはミクとしてそーっとしておこうというか、あれは事件・事故の類で良いのかもなあとも思ってはいて。(中略)3年くらいしたら「初音ミク? そんなのもあったね」で良いんですよ。

               佐々木渉/クリプトンフューチャーズ サウンドデータベース開発

         『ユリイカ』(08年12月)「生みの親が語る初音ミクとアングラカルチャー」

 

 

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