日本最年長ボカロP、死す
残念なニュースだ。
音楽業界やシンセサイザー界隈の人々にとって冨田氏は「レジェンド」と言える実績の持ち主だが、初音ミクフアンにとっても、忘れられない人である。
『イーハトーヴ交響曲』で初音ミクをソリストに起用したのが、冨田氏だ。
すでに名声を得ている80歳を超えた音楽の大家が
初音ミクに真剣に取り組んだ、ということだけでもすごいことである。
受け入れられるものか否かは、重要な問題ではない。
世界的に見ても電子音楽の大家である冨田氏が、まじめに、野心的に、
音楽の新しいシーンを切り開こうとしての取り組みだったことは、
長く語り継ぐにふさわしい功績だと言えるだろう。
これは、客寄せのために音楽番組で初音ミクに歌わせるとか、
小⚪︎哲哉が初音ミクで曲を作るとか、安⚪︎奈美恵がコラボするとか、
そういう次元の取り組みとは明らかに異なる。
初音ミクの社会的地位を、大きく高めた偉業だ。
その冨田氏が亡くなったことに哀悼を表したい。
と同時に、本年11月に予定されていた『ドクター・コッペリウス』が心配だ。
これは、冨田氏が再度初音ミクに真剣に取り組んだ交響曲になるはずだった。
どこまで完成しているのかは知る由もないが、
「どうか、無事上演できるレベルにはなっていてくれ」
と願わずにはおれない。