初音ミク総研

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初音ミクを研究した文献要約《「情報処理 別冊」編 Vol.1》

「人間の歌声でなければ聴く価値がない」という旧来の価値観を打破し、「合成された歌声がメインボーカルの楽曲を積極的に楽しむ文化」が世界で初めて日本に誕生した。

後藤真孝(産業技術総合研究所

 

 

なぜ自分の声が相手(初音ミク)に届かないとわかっていても、それでも、人々は声援を送ったり初音ミクに呼びかけて叫んだりせずにはいられないのか。それは声を出す自己表現手段であると同時に、会場の聴衆間のコミュニケーション手段であるからである。ステージ上の受け手の実在は声援行為に本質的ではなかったことが、こうしたコンサートだと浮き彫りになる。むしろ、他の観客が周囲にいることが本質的なのだろう。 

 後藤真孝(産業技術総合研究所

 

 

初音ミクには、人と人をつなげるハブ(hub)の効果もある。

後藤真孝(産業技術総合研究所

 

 

音楽合成技術がポピュラー音楽制作で不可欠となったのと同様、歌声合成技術もいつの日にか不可欠になる。(中略)特に、喉という物理的な制約のない歌声がどのような表現を生み出していくのかは興味深い。

後藤真孝(産業技術総合研究所

 

 

歌声合成技術が発展すると、人間の歌手はいらなくなるのだろうか。筆者はそうはおもわない。なぜなら、我々人類は歌うことをやめないからである。人は、強制されて歌うわけではなく、歌いたいから歌っている。

後藤真孝(産業技術総合研究所

 

 

過去にさかのぼって考えれが、たとえば、能や歌舞伎にはすでにキャラクタを大切にする文化があり、連歌はN次創作そのものである。ほかにも、人形浄瑠璃との関連性も指摘されている。日本の伝統は生きている。

後藤真孝(産業技術総合研究所

 

 

単に「歌やキャラクタを好む人々のための首位的な世界」だとみなすと、この本質を見誤るこの現象では、日本の技術・社会・文化のすべての強みが結集したと思えるような明るい未来が築かれつつあり、一度そのすごさを知ってしまうと、他の人には伝えずにはいられない気持ちになってしまう。

後藤真孝(産業技術総合研究所

 

 

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