私が初音ミクにはまる理由……《きっかけ編》
約2年で、ミクのライブBlu-rayを6枚購入した。
実はブログ管理人は、いい年したオッサンだ。
年齢は内緒だが、都内の会社で管理職をしている。
娘も二人いて、一人は中学生だ。
(その娘が最近、私以上にミクにはまっている)
なんでこの年で、こんなにはまったのか?
きっかけは、2013年の正月にMXテレビが放映していた初音ミクのライブ特番。
正月番組にも飽きて、あてもなくザッピングしていた時に何気に目に入ってきた。
最初の印象は「なんだこれ?」
アニメでもない、着ぐるみでもない、何かが歌い、踊っている。
ホログラフ技術が確立されていないことは知っているので、すぐに、
それがスクリーンに投影したものであると冷静に理解できた。
と同時に、どうやらこれは「初音ミク」らしい、と理解した。
初音ミクの存在については、なんとなく知っていた。
最初に何で知ったか、雑誌だったか、テレビだったかは忘れたが、
とある企業の音声合成ソフトが異例のヒット商品となったニュースを、
何年か前に見聞きしていたからだ。
ただ、特に興味はなかった。
面白い話題だなとは思ったが、DTMに興味はなく、自分には関係がないと思った。
音楽や漫画、アニメはそこそこ好きな方だが、自分のアンテナにひっかからなかった。
(話は古いが「エヴァンゲリオン」が大ヒットした時も、なぜか関心がなかった)
それからおそらく3〜5年後、正月に自宅のテレビで遭遇したのだが、
一瞬で魅了された。
そう、私の場合、「耳から」より「目から」初音ミクに入った。
厳密に言うと、イラストなどのヴィジュアルではなく、
ライブで踊り狂うミク(とその仲間たち)に目を奪われたのだ。
いったい自分は、何を見ているのか。
目の前で笑顔で熱唱しているミクさんは、本当はそこには存在しない。
スクリーンに投影されている映像と、
スピーカーから流されている電子音だということは、大人じゃなくてもわかるだろう。
でも「そこにいる」としか思えない。
リアルかリアルじゃないか、ではない。
存在感があるか、ないかだ。
そして間違いなく、そのテレビの中のミクさんは、「存在」していた。
現に、その歌を聴き、踊りを見て、自分の心に幸福感が湧き上がっていることは事実だった。
こんなCGの絵と、訳のわからない歌詞とに、俺が心動かされる?
いったい自分が、何を見てそのように感じているのか、頭が整理できなかった。
こうした存在感を際立たせるもうひとつのファクターが、そのライブの観客たちである。
テレビでその観客たちがスクリーンのミクさんに、声援を送り、掛け声をかけている。
「おいおい、お前ら正気か!」
と、最初は思ったものだ。
そこには、誰もいないのだ。
なのに、会場が、ミクさんを中心に盛り上がり、一体感を生み出している。
なんなんだ、これは?
そんなことを考えていると、番組は終わった。
俺は何を見て、何に心を動かされたのか。
それを知りたいと思った。
そして、アマゾンで調べてみると、初音ミクのBru-Rayが発売されていることを知った。
レヴューを見まくり、一番評価が高そうな、1枚に目をつける。
3ヶ月後、ある仕事がうまくいったご褒美として、自分でそれを買った。
その日から10日くらいは、仕事帰りに毎晩繰り返し見た。
嫁や子供が寝静まってから、1人でヘッドフォンをかけて、テレビの前にかじりついた。
3日目くらいに嫁が起きてきてばれたが(笑)、「俺の趣味だけど何か?」という顔で乗り切った。
そこから、Youtubeで曲を聴き、ツタヤでCDをレンタルし、iTuneで購入し、と、初音ミクにはまる生活がはじまった、というわけだ。
これがきっかけである。
さて、俺は結局、初音ミクの何に魅了されたのか。
そこに何を見て、何を感じたのか。
それについては、後日書こうと思う。
今日は最後におまけをひとつ。
初音ミクの造形について。
最初に見たときから(つまり、それほど関心がないときから)、造形は割と好きだった。
かっこよく、それでいて、なぜか落ち着く。
最初は、自分のセンスにあうのだろう、ぐらいに考えていた。
でも実は、それだけではなかった。
フアンの間では常識だが、初音ミクのデザインは、ヤマハのシンセサイザー「DX−7」をモチーフとしている。
そのことを知って、「ああ、そうだったのか」と、納得した。
遡ることおよそ20年ほど前、俺の自宅には「DX−7」があったのだ。
自分のものではなく、兄が高校受験の合格祝いに親に買ってもらったものだ。
当時、坂本龍一やA-Haをはじめ、トップミュージシャンたちがこぞって使っていた、往年の名機種である。
兄も俺も、結局はそれほど使いこなせなかったが、ただただ、かっこいい機種だった。
いろいろ事情があり、その後10年ほどして手放すことになったが、
しばらく我が家の畳の部屋に鎮座して、兄と俺の楽器欲を満たしてくれていた。
兄がでかいケースに入れて、バンド仲間と演奏の練習に、よくいっていたものだ。
だから、なのだろう。
初音ミクを見たときに、なにか、かっこいいような、懐かしいような、
そんな気持ちになったのは。
誰にも理解してもらえないと思うが、自分的には、非常にアメージングで、
感傷的な気分になる再開となった。